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黄斑変性症・加齢性黄斑変性症とは? |
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正常な見え方と黄斑変性症の場合の見え方 |
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網膜の中心にある「黄斑部」に異常が生じ、視野・視力障害をひきおこす眼病。 放置すると失明の可能性が高い。普通目の痛みはなく発症します。初めは片方の目に発症する事が多く、健康な目が欠けた視野を補う為にかなり進行しなければ気づきません。
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片方が発生するともう片方の目にも発生
黄斑変性症は普通は片方の目から起こりますが、両目同時に起こる事もあります。 片方の目に発生した場合、4年以内にその23%の方はもう一方の目にも発生すると言われています。
黄斑部では活性酸素が最も多く作られる
「黄斑部」は、直径5mmほどの、視野の中央に見える像を識別する部分で、網膜の他の部分に比べ、解像度や色の識別等の視機能が格段に優れ、物を見る上で最も重要な場所です。
そのせいで体の中で最も代謝が活発な組織です。 同時に「活性酸素」も最も多く作られます。 その為、抗酸化物質(ルテイン・ゼアキサンチン)が元々非常に多く存在してるところです。 ただでさえ活性酸素の発生が多い「黄斑部」のため、除去しきれない量の「活性酸素」が発生し、蓄積され続けると、黄斑変性症が引き起こるわけです。
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黄斑変性症の種類(滲出型・萎縮型) |
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黄斑変性症は2種類あります。 |
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@滲出型黄斑変性症
黄斑部の裏側に新生血管ができる眼病を「滲出型黄斑変性症」といいます。 ※20%がこのタイプ(危険度高) |
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「新生血管」とは元々存在する動脈や静脈の血管と異なり、急ごしらえの為、作りがとても弱く、破れやすいので、出血しやすい特徴があります。黄斑部の細胞が加齢とともに老化して、老廃物や活性酸素を処理できなくなると、黄斑部にたまるようになります。 下の図1が黄斑部がむくむメカニズムです。
この老廃物や活性酸素を吸収しようとして、「新生血管」が脈絡膜と呼ばれる部分から黄斑部の裏側に伸びてきます。出血すると血の塊ができ、黄斑部は円盤状に盛り上がり、網膜に障害が起こります。 そしてさらに出血が起こると、又更に新生血管が作られ、それによってまた出血が起こり悪循環が続きます。
新生血管が、黄斑部の中心窩まで伸びてくると、感度の高い視細胞群が破壊され、急激に視力が落ちます。 (矯正視力で0.1以下になり、基本的にその状態は永続します。)
この「滲出型黄斑変性症」は、原則「萎縮型黄斑変性症」を発症された方が、症状が悪化・移行して浸出型になる場合が多いのですが、突然病院で「滲出型」が発見され、レーザーでの凝固手術(出血した血管をレーザーで焼き固める)になる方も大勢いらっしゃいます。
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A萎縮型黄斑変性症
黄斑部が活性酸素で変性した眼病を「萎縮型黄斑変性症」といいます。
※80%がこのタイプ。 |
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加齢とともに黄斑部の組織が萎縮してくるものです。少しづつ視細胞が壊れていく為、中心部が少しづつ見えにくくなり「白内障」と勘違いする人がいます。
黄斑部の老化現象(網膜に含まれる脂質が活性酸素によって酸化され、有害な過酸化脂質に変化し、この過酸化脂質と網膜の神経細胞の老化が重なって、網膜の黄斑部を変性する)が、病的に進行した状態と考えられています。
「萎縮型」と診断を受けた場合、新生血管の発生は見られませんが、しばしば重度の「滲出型黄斑変性症」へ進行する事がある為、定期的な検査と注意が必要です。
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どちらの黄斑変性症も「活性酸素」を除去する生活習慣が重要
@萎縮型
網膜に含まれる脂質が活性酸素により酸化され、有害な過酸化脂質に変化し、この過酸化脂質と視神経の老化が重なり黄斑部を変性させる。
A浸出型 黄斑部の細胞が加齢により老化し、老廃物や活性酸素を処理しきれなくなると黄斑部にたまっていきます。この老廃物を吸収しようとして、新生血管が伸びて出血に至ります。
※人間の健康状態は「老廃物の排出→栄養素の吸収」で成り立ちますが、目に老廃物がたまると、簡単に排出されるものではありません。
早急に体質改善が必要となります。
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黄斑変性症の原因 |
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黄斑変性症とは、老化が異常に進行した場合に起こる眼病です。 |
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黄斑変性症の原因は、はっきりしていない部分が多いのですが、その多くは加齢に伴って起こっています。 強度の近視の若年の方の発症も稀にありますが、多くは50歳代あたりから兆候が始まり、60歳代、70歳代と高齢になるにつれて多くなっているのが特徴です。この世代になると、ほとんどの方の黄斑部は、色調がある程度変化しています。
しかし、加齢とともに全ての人が発症する「白内障」と違って、黄斑変性症は誰でもが発症するわけではありません。
加齢による変化が異常に進行した場合、視力の低下となって起こるといわれています。元々、欧米に多く日本では少なかったのですが、
近年日本でも急増している事から、
●高齢化とともに食生活の欧米化
●目の老化を促進する光刺激を受ける機会の増加
が直接的な原因と考えられ、現代社会の進化とともに環境が崩れて人間の生活にも負荷がが大きくかかっているという事です。
間接的には下記の3点も大きく左右します。
@昔と比較して紫外線の有害度が高まった
A年齢とともに活性酸素の発生量を増やす要因(老化・紫外線等)が重なる
B40歳辺りを境に黄斑部のルテイン・ゼアキサンチンレベルが下がっている
(※体内で生成されない為に意識して毎日摂取しなければ黄斑部を守るルテインが減少する一方で黄斑部を守りきれない)
では何故、紫外線が有害なのでしょうか? 光の中でも人間の目は紫外線などの「青色光」に侵されく、青色光はエネルギーが最強で、網膜の組織に入って大量の活性酸素を発生させるからです。
また、家族や双子に発症しているケースもあるため、遺伝も否めないという事が、研究により明らかになっています。 直系親族のどなたかにいらっしゃる場合、発症リスクが高くなりますので定期的な目の検査が必要になります。 その他「喫煙」は黄斑変性症の大敵です。喫煙者は非喫煙者と比較して発症リスクが2.5倍というデータがありますので注意が必要です。
※「食生活の欧米化」という事で具体的に肥満傾向にある方のリスクが高まります。肥満といっても、痩せている方の肥満の場合も含み、いわゆる「メタボリックシンドローム」も黄斑変性症の一因と言われています。
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メタボリックシンドロームとは? |
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生活習慣病の代表格である肥満症・高血圧・高脂血症・糖尿病などは、それぞれが独立した別の病気ではなく、肥満、つまり特に内臓脂肪が蓄積した肥満(内臓脂肪型肥満といいます)が原因であると言われ、近年問題となっています。
この「内臓脂肪型肥満」によって、さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリックシンドローム」といいます。
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黄斑変性症のおもな症状 |
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おもな自覚症状は次の3つになります。症状の現れ方は、その人の病変の経過により個人差があります。
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@ 中心暗点(中心部が見えにくくなる) |
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初期の段階では、中心暗点といって視野の中心が見えにくくなります。 物を見ようとすると、調度の部分がぼやけて見えたり、黒ずんで見えたりします。人の顔を見ようとしても、目鼻の形や表情がわかりません。
又、物の中心が小さく見えたり、色のコントラストは判別しにくい場合もあります。
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A 変視症(物が歪んで見える) |
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物や景色の一部がゆがんで見える「変視症」が現れる場合があります。
障子のさんや、敷き詰めてある壁のタイルなど規則正しく並んだものを片方の目でチェックすると、一部が歪んでいる事に気づきます。 この視野のゆがみがよくわかる為、上のアムスラーチャートでのチェックをまずは試してみましょう。
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B 視力低下 |
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初期段階には軽度ですが、黄斑変性症が進行すると、急激に視力が低下します。 もともと視力が良い人が、眼鏡で矯正しても0.1の視力まで低下する事もよくある事です。
この視力低下の状態でも、中心部は見えなくても周囲の景色や状況は見えますので、日常生活を送る事は可能です。
しかし、「見たい、読みたいものが見えない」という不便さ、精神的苦痛はかなり大きなものとなります。
ここから放置されたりして、更に進行すると、完全に失明に至ります。失明は免れたとしても、「失明に近い不自由な状態」にまでなります。早めの治療が必要です。
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黄斑変性症の治療 |
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【萎縮型】残念ながら、特に有効な治療方法がありません。 |
ゆっくりと進行する「萎縮型加齢性黄斑変性症」には、現在有効な治療法・薬はありません。進行を少しでも予防する為に、黄斑部の血管の循環や視細胞の働きを良くする薬が用いられます。
■ 血流を促す薬の処方
■ 生活習慣の改善の薦め
■ 経過観察
この3点をお医者様よりお話を受けます。
※このタイプは、進行の速い「滲出型加齢性黄斑変性症」に変化する可能性があるので、経過観察は欠かせません。
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【滲出型】「新生血管」をレーザーで焼きつぶしたり、投薬治療となります。 |
新生血管が発生し、視力低下が進行しやすい滲出型は「要治療」です。 治療は、新生血管を消失させて視力を回復するか、あるいはそれ以上視力が悪化するのを予防する事が目的です。
【1】新生血管が黄斑部の中心窩へ達していない場合
レーザー光凝固療法が行われます。この治療で症状の進行は止まり、視力の改善も可能です。
レーザー光凝固療法
この方法では、レーザーで新生血管を焼き固め(熱凝固)、症状の進行を止めて、中心窩の機能を維持するのが目的です。
この方法で出血や滲出物によるむくみが治れば、視力が回復するケースもあります。外来で行い、成功率は高い方法で新生血管が発育しないうちに発見し、早期治療が重要です。
この治療法の問題点
ある程度避けられない短所があります。
中心窩近くの新生血管を焼く時に、その周辺の正常な網膜組織も壊されるので、そこに「暗点部分」が生じ、物を見つめる時に中心のすぐ横が見えない箇所が生じます。
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【2】新生血管が黄斑部の中心窩まで伸びている場合
まずは、投薬治療(抗血管内皮増殖因子の投薬)となります。
破れて出血しやすい「新生血管」は「血管内皮増殖因子」(vascular endothelial growth factor:略してVEGF)というたんぱく質が、その発生や促進させている考えられており、VEGFを阻害するでこの新生血管を退縮させる治療法です。抗VEGF薬はVEGFの働きを中和したり遮断したりして新生血管の発育を抑えます。
この治療では、抗VEGF薬を眼の中、つまり硝子体内に注射します。現在認可されているVEGF阻害薬には「マクジェン」、「ルセンティス(視力改善が期待でき、治療効果が高いと言われ、現在、最も多く使用されています)」、「アイリーア」という3種類の薬があり、約1ヶ月ごとに2〜3回注射します。
その後は定期的に診察をして、新生血管の活動性がみられれば、再度注射を行います。
また、薬だけでは治りにくい方の場合、投薬治療と並行して光線力学的療法(視力維持目的)と同時治療を行うことがあり、光線力学療法は、抗VEGF薬と比べると改善の程度は低いですが視力が改善すると言われています。
黄斑部を光凝固で焼く場合もありますが、逆に視力障害を招く事になりかねません。 状態によっては手術によって「新生血管」直接摘出を行います。手術後は、中心部の視野も明るくなり、視力低下を防げ、矯正視力で0.1以上になる人も多いです。
ただし、大きな視力改善は期待できません。 ※摘出が困難なケースもあります。
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<加齢性黄斑変性症のおもな治療法> |
新生血管が中心窩にない場合 |
レーザー光凝固療法 |
新生血管が中心窩にある場合 |
抗VEGF投薬治療 レーザー光凝固療法(中心窩外側の栄養血管を焼く)
新生血管摘出手術
低線量放射線療法
光線力学療法
中心窩移動術
インターフェロン療法
経瞳孔温熱療法 |
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加齢黄斑変性の前ぶれの状態を黄斑部にみとめる、という診断ケースもあります
こういった方初期段階の方の場合、特に手立てがありませんので、発病予防のために、生活習慣の改善(緑黄野菜、背の青い魚の摂取など食生活の改善、定期的な運動や、体重・血圧の管理)やサプリメント(ルテイン)を摂取するのが有効だと言われています。
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黄斑変性症の予防 |
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黄斑変性症の危険因子は「老化」だけではありません。 |
加齢はもちろんですので、老化防止に努めねばなりませんが、それ以外に遺伝、環境(紫外線)、心血管疾患、遠視、近視の方、栄養不足、偏食、そして、喫煙等です。心あたりがある方はできるだけ日々の生活で、発症を未然に防ぐように今からできる事から心がけましょう。
少しでも、見えづらさ・視野・視界に変化を感じた方は、至急眼底検査をお薦めします。
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加齢性黄斑変性症を発症(進行)させない方法
@黄斑部等に飽和している活性酸素を除去するために抗酸化力のある栄養成分の摂取 (黄斑変性症の方は網膜に活性酸素の飽和状態の為にルテインは必須です)
A直射日光(紫外線)をなるべく避ける
B喫煙をやめる
Cストレスをためない
D偏った食生活の改善→背の青い魚(オメガ3がふんだんに摂取できるもの)、緑黄色野菜の摂取を心掛ける
E高血圧を下げるように心掛ける(食事中に含まれる飽和脂肪酸の量を下げる)
Fアルコールの量を制限する(男性:週6杯、女性:週3杯)
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